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アルコ&ピース平子祐希、初の小説連載!「ピンキー☆キャッチ」第10回|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS


MOVIE WALKER PRESSの公式YouTubeチャンネルで映画番組「酒と平和と映画談義」に出演中のお笑いコンビ「アルコ&ピース」。そのネタ担当平子祐希が、MOVIE WALKER PRESSにて自身初の小説「ピンキー☆キャッチ」を連載中。第10回は正義を守る「ピンキー☆キャッチ」の新メンバーのスカウト活動で、3人目の候補者の調査に向かった都筑だったが…。

ピンキー☆キャッチ 第10回

イラスト/Koto Nakajo

3日後、都築は上司二人を引き連れ、渋谷松濤でタクシーを降りた。今日の相手は自分よりも年長者である為、年下の自分だけでは軽く見られてしまうかもしれないからだ。小太りの笹井は52歳で、訪問先の鏑木と同じ年齢だ。186cmと長身の吉崎は58歳という年齢ながら、透き通るような白髪をダンディにオールバックでまとめている。『共通の話題で盛り上がれる明るいタメ年』と『ニヒルだが物腰の柔らかい歳上』という、説得に関しては最強の布陣で乗り込んだ。

「都築、そのお土産は何選んだの?」

伊勢丹の紙袋を笹井がつついてきた。

「虎屋の羊羹と最中の詰め合わせですが」
「へえ、いいな。食べたいなあ」

上司として手土産の中身を確認したのではなく、純粋に気になったのだ。この世代の防衛省職員は昔気質の体育会系が多い中、笹井は気の抜けた風船のようで安心できた。「昔は厳しかった」「飲むと人が変わり・・」というものではなく、ずっといつでもこうなのだ。

「先方が甘いもの好きとは限らないが、伊勢丹の紙袋と虎屋というだけでブランドが2つ入ってるからな。これだけで誠意は伝わるよ。老舗の名前は強いよな」

バリトンボイスで吉崎が話を引き取った。知的で理論派でダンディズムを崩さない。都築が新人の頃からの上司で、声こそ荒げることはないが、吉崎に静かに正論で諭されると軍曹タイプに怒鳴られるよりも効いた。
三人が立ち降りた松濤は、渋谷と山手通りに挟まれた場所に位置する住宅街だ。場所柄で考えると信じられないくらいに閑静であった。政財界の大物や有名企業の社長達が大邸宅を構える高級住宅街で、確かに一軒一軒の区画が広大だ。

「あ、おそらくあのお宅ですね、グレーの壁の。うわあ、大きいなあ・・」

今回は吉崎の勧めで事前に電話でアポイントを取っていた。確かにいい大人に対してはこの手法がスマートであろうし、何より固定電話を持つ独り者であったため、直接本人と容易に繋がれたのだ。電話先では年相応に丁寧な対応をしてくれたが、一つ気になる点があった。こちらが防衛省職員を名乗っても、鏑木に一切の動揺が感じ取れなかったのだ。「詳細は当日に直接お話しをさせて頂きたいのですが・・」などと怪しまれて然るべき言い回しにも「ええ構いませんよ」とサラリと受け入れられた。どのように財を成したのかも不明で、事前準備のしようも無い。そこで今回は二人の年長者を頼ったのだ。

「打ち放しの家だな。コンクリートが剥き出しだから質も仕上げも誤魔化しが効かない分高級な施工になるんだ。もう古い家だろうが、当時からすると最先端なモダン建築だっただろうなあ」
「ぬりかべみたいですね~、色が。基地みたい、基地」

絶妙に噛み合わない、対照的なこの上司達が都築は好きだった。
3メートルはあろうかという外壁の中心に、古めかしいインターホンがあった。昔懐かしいアナログ風のチャイムが響くと、パタパタとした足音の後に門が開いた。

「どうもどうも、防衛省さん? 鏑木です」

確かに電話で話をした声の主であった。鏑木はグレーのパーカーに細身の黒パンツを合わせ、原色の鮮やかな赤いベースボールキャップを被るでもなく浅く頭に乗せていた。この重厚な邸宅の主にはあまりにも不釣り合いで、アポが無ければ本人だと断定できなかったであろう。肌は不自然に浅黒く、明らかにマシーンで焼いたと見て取れる日焼け具合だった。口元に深く刻まれたほうれい線が、胸元の『supreme』のロゴの違和感を引き立たせている。

「お忙しいところお時間を割いて頂き恐縮です。お電話差し上げました都築と申します。本日は宜しくお願いします。あ、こちら名刺を失礼します・・」

「どうもどうも。立ち話もアレでしょうから、とりあえずお入り下さいな」

(つづく)

文/平子祐希



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