荒川弘による人気漫画――錬金術が存在する架空の世界を舞台としたダーク・ファンタジーを、山田涼介(Hey! Say! JUMP)主演で実写映画化した本作。エドとアル、エルリック兄弟の物語の最終章を、国家錬金術師の抹殺を誓う男スカーとの対決を描く『復讐者スカー』、国家を揺るがす巨大な陰謀に導かれていく『最後の錬成』の二部作で、原作の最終話まで描き切る。
内野は、エルリック兄弟の父親ヴァン・ホーエンハイムと、兄弟たちに立ちはだかるホムンクルスたちの生みの親である“お父様”という敵対するキャラクターの一人二役の演じ分けに挑戦。
「ホーエンハイムはシリアスな時は色っぽいけど、普段はちょっと抜けたところがある、家族を大切にする愛すべきキャラクターで、そこは大事にしました。一方、 “お父様”は、神をも超える存在になりたいという強い野望を持っており、影があり、謎めいたキャラクターで地獄の大魔王みたいな雰囲気を意識しました」と、演じ分けのポイントを明かす。
そして、ホーエンハイムと“お父様”の2人が対峙する展開が見どころの一つでもある。「この二人が同時に画面に登場するシーンは、二人の演技を演出しているような感があって、特に面白い体験でした」と撮影時を振り返った。
また、一人二役のみならず、物語のカギを握るフラスコの中の小人の声も担当したことについて、「フラスコの中で退屈し切っていて、ずっと奴隷23号のことを観察し、話しかけるチャンスを伺っていたんだと思います。そしてある日、突然『話しかけちゃおうっと!』みたいないたずら心や、お父様の野心につながる悪意のようなものを込めたつもりです。人間ではなく、フラスコの中のモヤモヤした生命体が話す声なので普通の声だと面白くないなと思いつつ、紋切り型の声色にならないように注意しながら、楽しく演じさせていただきました」と、現実世界にはいない生命体への想像を膨らませながら声を作っていったそう。
さらに、ホーエンハイムと瓜二つな姿の“お父様”から姿形を変化させた、黒い生命体の姿であるCGで描かれた”お父様”の動きのベースは、内野の動きが使われている。姿を変えた”お父様”の声にも挑戦しており、「どういうしゃべり方が、一番説得力があるのか、かなり模索しました。”お父様”は普通に生きている人類とは脳みそのスケールなどが全然違うと感じたので、時に宇宙の写真を見たりして、宇宙に思いを馳せながら演じたりもしましたね。非常に新鮮な経験で、難しかったけれど、得難い経験でした」と、実在しない人間を超越したキャラクターを作り上げる際の工夫を明かしている。
今回解禁となった場面写真からも、鎧(よろい)の姿になってしまった息子アルフォンスの姿に驚くどこかとぼけた表情を見せるホーエンハイム、長い金髪を下ろし堂々とした独裁者のような威厳を持った表情を見せる“お父様”の二つのキャラクターの違いを感じるとることができる。